意思決定支援とネットビジネス
店頭で見て、現在の自分のやりたいことに合致している内容だったので購入しました。
本書での意思決定支援システムとは、Webで蓄積された情報を利用した、インターネットを通じで使用されるシステムです。つまり、Amazonの商品推薦機能やkizasiや最近だとザッピングのようなシステムが本書で扱われている内容の成果物といえます。
Webの情報を使ったユーザ支援のための技術を全般的に扱っており、それぞれのトピックについてコンパクトにまとまっています。
誰を対象にした本か
読者の興味によっては読んで面白い章がまちまちになると思います。私の感想だと章ごとの楽しめそうな層は以下のようになります。
- インタラクティブなインターフェースを設計したいFlasher ・・・ 2章「インタラクション技術」
- デザインの指標や情報可視化の手法についての紹介がされています
- ネット通販をやっているマーケターとか ・・・ 3章「ユーザモデリング技術」、5章「実購買行動の観察によるアプローチ」
- テキストマイニングに興味がある人 ・・・ 4章「ネットテキスト管理技術」
- 評判分析のさわりの話とか
読んでみて気になるトピックがあれば、紹介されている論文を読んでみればよいと思います。
個人的に面白かった話
2章のインタラクティクション技術の話が非常に参考になりました。
Normanの概念モデルなどいくつかインターフェースを作るうえで知っておいてもよさそうなモデルの紹介がされています。また、ネットワーク構造や階層構造などを可視化する手法もいくつか取り上げられています。
デザインするときに意識すべきこと
- Overviw first, zoom and filter, then datails on demand.(p27) ・・・ 情報検索時にユーザは全体から部分へ絞り込む
- GUIの直接操作手法の代表
- dynamic query ・・・ データにスライダなどで制限を与える手法
- details-on-demand ・・・ 大量のデータがあるときに、簡略化して表示し、選択されたら詳細を出す手法
- brushing & linking ・・・ 同じデータが複数のウィンドウで表示されている場合に、片方をいじったらもう片方も変化させる手法
当たり前のようにこれらの手法をとりいれているかもしれませんが、OOPにおけるデザインパターンのように、こうやって明文化することが大切だと思います。
オープン化によるイノベーション
この本の著者らは人工知能学会の方々なのですが、研究成果をオープン化することのメリットについて6章で取り上げています。企業や研究室内で技術を眠らせるよりは、Webでサービスとしてオープン化することで新しいビジネスモデルが生まれるのでは、と述べています。
学会発表や論文を読んだりしていると、面白そうな研究は結構見かけるのですが、実用される話はあまり聞かないので、ブログウォッチャーは位置情報データプラットフォーム「プロファイルパスポート」で位置情報取得可能なSDKや広告、分析を提供のような感じで、どんどんビジネス化が進むとよいですね。