個人で運用するWebサービスの限界を考える

個人が作成したWebサービスの数はここ数年で爆発的に増えています。
サーバ自体の導入コストも低下してきており、レンタルサーバでもPHPのようなスクリプト言語が使えるものが珍しくなくなり、Ruby on Railsのような開発速度を向上させるフレームワークも登場してきて、今後も個人が運用するWebサービスは増加をしていくでしょう。

個人Webサービスの寿命

今回考えたいのは、そういった個人で運用するWebサービスの終了するときについてです。
Webサービスは作ってからが本当のスタートで、開発者は開発にかかったコスト以上に運用するために時間的・金銭的・精神的にコストを負担していくことになります。なので、自分の払うコストに見合わないと思ったらサービスの終了を考えるのは当然だと思います。
つまり作った人一人がやる気をなくしてしまえばどんなにいいサービスでも一瞬で消えてしまうということです。
最近上場したGREEですが、当初個人で運営していたときに「管理人さんが死んだらサービスはどうなるんですか?困ります!」的なコメントをユーザからいただいたと言う話を聞いたことがあります。極端な話になりますが、作った個人が事故や病気で亡くなったりしてしまってもそのサービスは終了してしまいます。
開発者である個人が自分のサービスへ関われなくなったそのときがWebサービスの寿命となっていしまうということ。これが個人で運用するWebサービスの限界なのではないかと考えます。

止めるのは作った人の自由?

個人で作ったものなのだから好きなときに止めてもよいではないかという意見もあると思います。
ちょっとした検索サイトやジェネレータやマッシュアップのようなサービスであれば人気があれば代替となる似たサービスはあると思いますので、それもありだと思います。そもそも、そういう系のサービスだとサーバさえ確保できればメンテナンスはほとんどいらない場合もありますのでただ放置しておくという選択肢もあるかもしれません。
ただ、CGM的な要素やコミュニティ要素を持ったサービスにおいては、それまでサービス内でユーザが作ったものやそのコミュニティは立派な財産だと思うので、作った人の一存で終了させてしまう前に、どうにか延命の方法を考えて欲しいと個人的には思います。

ひろゆきが2ちゃんねるを譲渡したって話も今回書いたようなことを考えて決定したのかもしれないなと思ったり。とはいえ、2ちゃんねるの場合は複数人が運用に関わっているのでどうとでもなりそうですが。

たくさんのユーザがいるサービスを止めてしまうと、ユーザはサービスを使えなくなると言う不利益をこうむりますし、開発者としてもこれまで成長させるのにかけたコストがもったいないと思います。

サービスを延命する

個人が運用を止めようと思ったときにサービスを延命するために選択可能な方法で、私がぱっと思いついたものは3つあります。
一つ目は、先ほど話したGREEのように起業すること。ビジネスとして成立しうるサービスまで成長させられるのであればこの選択肢もありだと思います。でもそこまで収益性の見込めるサービスは大量には生まれてこないし、起業することを面倒に思う人も少なくないでしょう。
二つ目は、カヤックでは作ったサービスの売却ページを作ったりしていますが、こんな感じでサービスの売却を考えるのも一つの手だと思います。数年前だとライブドアなどに買収されるのがサービス開発者としての一つのゴールのように思っていましたが、現在は個人が作ったものを買ってくれる企業はあまり見かけなくなった気がしますね。
三つ目は、誰かにサービスの管理を譲ること。熱心なユーザであればボランティアでもいいのでサービスを手伝いたいと思ってくれるかもしれません。

どの方法でも言えることは、一人でやることには限界があるので誰か他の人を巻き込もうとすることがサービスの寿命を伸ばすことにつながるということです。
OSSの隆盛により、ソースコードのレベルでは他の人とコストを分かち合うことが一般的になってきましたが、サービスのレベルで他の人とコストを分かち合うことが今後一般的に見られるのかどうかが気になるところです。